久しぶりの更新となります。
Front Mechanicの小林です。どうしてこんなにも時間が空いてしまったかというと、実生活でいろいろと問題が出てしまったからです。
何が起きたかというと、私が所属している整備工場で脱落者が二人出てしまいました。
一人はうつ病になってしまい、現在は休職をしています。もう一人はすでに退職届を出して受理されています。
ここ数年に渡り、うちの会社全体で見ても、私が入社した頃とは比べ物にならないくらい、退職者が多いです。
定年退職ならそれは問題ないのですが、入ったばかりの20代、脂の乗ってきた30代、管理を任され始める40代、50代。
皆、定年を待たずに退職していってしまうのです。どこに問題があるのか?
思えば私の同級生もディーラーで整備をしていた仲間が数名いました。今ではその半分以上が辞めてしまっています。
整備士が離職する理由で多いのは何か?
これは一概には言えず、年代によっても理由が異なってくるかとは思います。
が、共通して言えることは何かというと、未来への展望が見えなくなってしまうこと。
今、自動車業界って百年に一度の変革期などと言われています。
これで、10月からはOBD車検も開始になります。
昔のキャブ車時代って、ある程度の技術で応急処置などができました。
近年の電子制御になると、診断機をどう使いこなすか?ここがポイントになります。年齢層が高くて辞めていってしまった先輩方達は、このハードルを越えられなかった人が多いです。
パソコンができないと整備も成り立たなくなってきている。そんなイメージだとわかりやすいですね。
方や新卒で辞めていったみなさんは、この業界の未来を感じられなくなってしまったのかなと。
整備の仕事っていわゆる3Kです。きつい、汚い、危険。それに加えて給料が安いです。
おそらくこの会社で長年勤務していくとどうなるのか?そのイメージが、自分たちが思っているものとかけ離れていた。
そういえるのかもしれません。
今年リタイヤとなってしまった私の会社の中間層2名。これは、管理職に上がるジレンマを抱えていたんだと想像できます。
特にずっとメカニックでやってきた人間が陥りやすい壁です。
私はフロントも経験していますので、事務作業もできますし、検査員も持ってるので検査も整備もできます。
なんなら、こんなブログを書いてるくらいなので、営業だって可能です。
メカニック一本でやってきた人間が、ある程度の年代になると営業にさせられたり、管理側へついたりすることは珍しくありません。
そのくらい整備って体を使う仕事でもあるので、年齢を重ねてくるとパフォーマンスが落ちてきます。
30代がピークだとすると、40代は緩やかに下降していきます。
後輩達が育ってくると、自分の存在意義に疑問を持ってしまうのも理解できます。
そんな時パソコンを使った管理とか、メカニック一本でやってきて、サービスの前線であるフロントに異動になる。
これは不安でしかないんだと思います。事実私の会社の二人はこれが理由で離職してしまいました。
彼らは面白いことに、次に何の仕事を選んだかというと、また自動車整備士なんです。
他社へ転職することで、年齢を重ねていても新人に近い存在になります。しばらくは管理職や他の部門へはいくことはないだろうと。
そういう目論見なのかもしれません。
純粋に責任は軽くて整備をして食べていきたいということですね。その気持ちもわかります。
もちろん転職するので、給料はほとんどの場合下がります。そうであっても、仕事のプレッシャーなどを一旦リセットしたくなる。
子供を育て終えた年代に多い退職理由です。
では、どうすれば自動車整備業でずっと働いていけるのか?
これは多分もう少ししたらまた変わってくると思います。というのも、今は整備士の担い手がいません。
つまり街中に溢れている車を整備する人間が減ってきているんです。するとどうなるか?
整備工場はお客様側にランクをつけるでしょう。毎回車検や点検を必ず出してくれて、支払いもスムーズな優良顧客。
困った時しか整備を入れてこない一見さん。
この2人が同じ日の同じタイミングで故障をしたとしたら、整備工場はもちろん付き合いの長い優良顧客を先に対応します。
つまり、整備を受けたくても受けられなくなってくるんです。そうなると、整備料金が上がっていく、給料もある程度は上がる。
こういうフローになってくれば、整備士の希少性が増えて見直されるんじゃないかなと。
私は、車が故障したらどうするか?まず私はバイクも持っています。もし、車が故障してしまったら、バイクで出勤します。
なぜバイクを持っているのかというと、それが理由です。何か起きた時にもう一つの移動手段を用意しておく。これが重要だからです。
奥さんの車には、レンタカーの特約をつけています。故障をしたら取り合えずレンタカーを保険で借りることができるんです。
すぐに整備に着手してもらえなくても、レンタカーで凌いでいける。
レンタカー費用が実費だと日額5000円くらいかかってきますので、車が故障するといかに経済的にダメージがデカくなるか?
これを分かってない人が多いです。
今整備士はすごく苦しい状況にいます。ですが、もう少ししたら何かが変わるのではないかなと思っています。
もちろんその先に待ち受けるのは、また過酷な道であるということも重々理解はしています。